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土壌分析ご依頼の流れ

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計量証明書(土壌)の見本・項目の解説

  1. 調査ナンバー

    調査ナンバー

    診断書固有の番号です。
    お問い合わせ時などにお知らせください。

  2. 土性

    土性

    触診による土性の大まかな分類を示しています。
    土性は、土壌粒子(砂や粘土)の分布により以下の、5つに分類されます。

    S 砂土(さど)
    砂が多く粘土をほとんど含まない
    SL 砂壌土(さじょうど)
    砂を比較的多く含む
    L 壌土(じょうど)
    砂や粘土を含む一般的な土壌
    CL 埴浄土(しょくじょうど)
    粘土分を比較的多く含む
    C 埴土(しょくど)
    粘土分が多く砂をほとんど含まない

    また、土性は保肥力や水はけにも影響します。

  3. 分析法・分析値

    分析法・分析値

    それぞれの項目の分析法と分析値を示しています。
    分析値が過剰又は欠乏の場合は赤字で表示します。

  4. 過剰・欠乏

    判定表の見方

    数値の高低が直感的にわかりやすいようにグラフが上下に描かれています。
    標準域をはさみ上へ行くほど過剰又は大きい、下に行くほど欠乏又は小さい事を表しています。

    又、異常値がわかりやすいようにグラフの表示(丸印)を色分けしています。
    赤丸が多いほどバランスが悪く、黄色や緑が多くなるほど理想的な土壌に近づいていることを表します。

  5. pH(ピーエイチ又はペーハー)

    pH(ピーエイチ又はペーハー)

    土壌が酸性かアルカリ性かを数値で表しています。
    数値が7の時が中性でそれより数値が低いと酸性、高いとアルカリ性であることを示しています。
    作物により生育に適したpHの範囲が異なります。

    当センターでは水抽出でのpHを測定しています。
    最近は、土壌のアルカリ化による、微量要素の不溶化が問題になっています。

  6. EC(イーシー)電気伝導度

    EC(イーシー)電気伝導度

    土壌(溶液)の電気の通しやすさを表しています。
    土壌は肥料分(塩類)が多くなるほど電気を通しやすくなり、ECの数値が高いほど肥料分が多く含まれていること示しています。高すぎると根やけなど生育に悪影響を及ぼし、低すぎると肥料切れを起こします。

    ECも作物により適した値(耐塩性)が異なります。
    ECの数値と硝酸態窒素の量に比例関係がみられることから、窒素肥料の残効の目安に用いられることがあります。

  7. アンモニア態窒素、硝酸態窒素

    アンモニア態窒素、硝酸態窒素

    土壌中の窒素の残効を表しています。
    施肥計算する場合は、両社の合計で計算を行います。
    硝酸態窒素の残効が多くなるとpHの低下が見られるようになります。

    • 単位のmg/100gは10a(1反)あたりのkgに相当します。
      例えば窒素が13.3mg/100gの場合
      10aあたり13.3kgの窒素が土壌に含まれていることを表します。
  8. 有効態リン酸

    有効態リン酸

    植物が利用可能なリン酸分を抽出し測定した値です。
    リン酸は流亡が少なく、過剰害が現れにくい為に気づかないうちに蓄積し、近年、リン酸過剰の圃場が目立つ様になってました。
    リン酸が過剰になると鉄や、銅、亜鉛などの微量要素を不溶化させ、微量要素欠乏を誘発する恐れがあります。

  9. 交換性加里、石灰、苦土

    交換性加里、石灰、苦土

    土壌溶液及び、粘土や腐植に電気的に吸着保持されており、植物が容易に利用できる形の加里、石灰、苦土成分のことで、これらをまとめて交換性塩基とも言います。

    交換性塩基(特に石灰)が多くなると塩基緩和度が上昇しpHも上昇します。

  10. 交換性マンガン

    交換性マンガン

    交換性マンガンは、土壌のpHや酸化還元の状態により溶出量が大きく変動します。pHが中性から高い場合や畑地など酸化状態では値は低くなり、逆にpHが低い状態や水田など還元状態では値は高くなります。

    最近の研究では、堆肥など有機物を多量に施用した場合、マンガン酸化菌によって酸化され、不溶化することがわかってきました。

    マンガンは微量要素の1つで、葉緑素の生成や、光合成に深く関与し、酸化還元酵素の活性化やビタミンC合成にも関与しています。

    • 単位のmg/kgは、10a(1反)あたりに換算すると1mg/kgの場合100g土壌に含まれる事になります。
  11. 可給態鉄

    可給態鉄

    可給態鉄とは、測定した土壌中に含まれる植物に利用可能な形態の鉄の量を表しています。
    可給態鉄も交換性マンガン同様に土壌のpHや酸化還元の状態により溶出量が大きく変動します。
    pHが中性から高い場合や畑地など酸化状態では値が低くなり、逆にpHが低い状態や水田など還元状態では値が高くなります。

    鉄は微量要素の1つで、葉緑素の合成や光合成に深く関与し、また多くの酸化還元酵素を活性化します。
    リン酸過剰の土壌では、鉄はリン酸と反応し不溶化を起こし、葉が黄化するなどの欠乏症状が現れることがあります。

  12. 可給態銅

    可給態銅

    銅が不足すると無機窒素からのタンパク質合成がとどこおり、植物体内に低分子の窒素化合物が過剰に蓄積し、それを好む害虫がつきやすくなると言われています。

    ボルドー液を多用するブドウ園などの土壌には銅が過剰に含まれている事が良くあります。
    銅も微量要素の1つで、葉緑素の生成や酵素を活性化する働きを持っており、pHが高い場合や、リン酸過剰では不溶化されやすくなります。

  13. 可給態亜鉛

    可給態亜鉛

    亜鉛は微量要素の1つで、多くの酵素の働きを助け、葉緑素や生長ホルモンの合成等にかかわっています。
    欠乏すると、小葉化や果実の小玉化など細胞分裂や生長が悪くなります。亜鉛もpHが低くなると溶けやすく、pHが高くなると溶けにくくなり、リン酸過剰下では不溶化されやすくなります。

  14. ホウ素

    ホウ素

    ホウ素は微量要素の1つで、細胞膜の安定化、炭水化物(糖)の代謝や移動に関与しています。

    また、花粉の発芽や花粉管の伸張にも必要とされています。
    欠乏すると、新葉の壊死、コルク化、不稔などの障害を起こします。最近はホウ素入り肥料が増えたためか、ホウ素の分析値の高い圃場が拡大する傾向にあり、今後は過剰施用にも注意を払う必要が出てくるものと思われます。

    ホウ素もpHが低くなると溶けやすく、pHが高くなると溶けにくくなります。

  15. 石灰苦土比、苦土加里比

    石灰苦土比、苦土加里比

    加里、石灰、苦土などの塩基は、互いに作物への吸収を阻害しあう拮抗関係にあります。それぞれの養分をバランスよく効かせるには、この拮抗のバランスがとれている必要があります。

    石灰と苦土の場合は石灰苦土比が5~8の間に有れば拮抗のバランスがとれ、互いの吸収阻害は最小限になります。
    この比が8以上になってくると石灰が苦土の、5以下になってくると苦土が石灰の吸収を妨げる状態にあることを表します。

    苦土と加里の場合は比が2以上(2~6)であれば拮抗のバランスはとれていますが、堆肥を多量に投入している圃場ではカリが過剰に蓄積している場合があり、苦土加里比が2以下になってくると、過剰の加里が苦土の吸収を妨げ、土壌中に苦土があるのに苦土欠が発生するという異常な事態が発生することがあります。

    なお計算は分析値をそのまま用いるのではなく、ミリグラム当量(me)という単位に換算してから行い、結果は当量比として表されています。

  16. 塩基置換容量

    塩基置換容量

    土壌中の粘土や有機物(腐植)などは電気的にマイナスの性質を持っており、加里、石灰、苦土などのプラスの電気を持つ塩基(陽イオン)を吸着保持することが出来ます。この土壌が吸着保持する塩基の最大量(マイナス荷電の総量)を塩基置換容量または陽イオン交換容量(CEC)と呼びます。
    この数値が大きいほど多量の塩基など肥料分を吸着保持することができ、その土壌の保肥力を表す数値として用いられています。

    この数値が大きい場合は、施用した肥料はいったん土壌に保持され徐々に効いていくことから、元肥主体の施肥体系を組み、低い場合は保持されずにすぐに効いてしまうために根やけなどを起こしやすく、追肥主体の施肥体系が組まれます。
    塩基置換容量は粘土や腐植が多い土壌では高く、砂が多く腐植が乏しくなるほど低くなります。火山灰土壌も塩基置換容量は高いが、塩基の吸着力は弱いとされています。

  17. 塩基緩和度

    塩基飽和度

    塩基置換容量に対して実際に加里、石灰、苦土などの塩基がどれだけ吸着保持され、満たされているかの割合を%で表したものです。人間と同様に置換容量(保肥力)の腹八分目、60%~80%位が理想とされています。腹八分目くらいだとまだ余裕があり、施肥した塩基はいったん土壌に保持されるため、土壌(溶液)中の塩基濃度の急激な変化は起こりにくくなります。

    しかし、実際の圃場では飽和度が100%を超えている場合も多く、すでに保肥力の限界を超えているため、施肥の影響を作物が直接受けやすい緩衝能のない畑が増えてきています。
    また、塩基飽和度が100%を超えると緩衝能がないためpHが上がりやすくなります。

  18. 腐植

    腐植

    有機物が分解し、これ以上分解できない状態になったものを腐植と呼びます。徐々にではあるが消耗するので堆肥などで常に補給する必要があります。腐植の主な働きは、土壌の団粒構造維持や、塩基置換容量が高いため、保肥力の向上と緩衝能の増大、また微生物相の改善などが挙げられます。

    腐植はある程度存在すればよく、堆肥などで必要以上に投入すると、リン酸や特に加里の過剰蓄積を招くので注意が必要です。
    当センターでは、吸光光度法で腐植含量を測定しています。

  19. リン酸吸収係数

    リン酸吸収係数

    この土壌が持つリン酸の吸収固定力を表したものです。
    リン酸は土壌中のアルミニウムなどと反応すると強く固定化され植物に利用されない形に変化します。黒ボクをはじめとする火山灰土壌ではアルミニウムを多く含むためリン酸吸収係数が高い値を示し、これにより多量のリン酸が固定化されるため、一般の圃場に比べりん酸施肥量を増やす必要があります。

    また、固定化を低減するため水溶性のりん酸より、く溶性のりん酸を含む肥料を使用するなど施肥法に工夫を加える必要があります。
    近年、土壌中のリン酸が過剰になり、この固定力以上蓄積し、リン酸吸収係数が見かけ上0になっている圃場も見られるようになってきました。

  20. 診断メッセージ

    診断メッセージ

    この計量証明書の分析値に基づいたコメントが書かれています。

  21. 本年度参考施肥設計

    本年度参考施肥設計

    計量証明書に掲載されている「上記の参考施肥設計の基となる施肥量」と窒素、リン酸、加里の分析結果による残効により過不足を計算し、本年に必要な参考施用量を示しています。この結果に基づき、元肥や追肥の施用を行ってください。
    この圃場の場合は、各成分とも残効が高く、窒素の減肥、リン酸、加里の使用中止を勧めています。

  22. 上記参考施肥設計の基となる施肥量

    上記参考施肥設計の基となる施肥量

    施肥計算の基準となる施肥量で、土壌分析依頼書の※所轄・地域・農協の施肥基準の欄にご記入いただく数値が記載されます。

    ご記入がない場合は、県の基準などで極力計算しますが、計算出来ない場合や、ご当地の基準と数値のズレが生じる場合がありますので、出来るだけ分析依頼書には当地の施肥基準のご記入をお願いします。

  23. 肥料及び土づくり資材名

    肥料及び土づくり資材名

    窒素、リン酸、加里、以外に必要になるミネラル剤等の肥料やお勧めの土壌改良剤等が記入されています。
    窒素、リン酸、加里は別途
    「本年度参考施肥設計」に基づき施用してください。

  24. 多量要素

    窒素から苦土までの施肥前の標準域です。
    分析数値が標準域内の場合は施肥基準通りの施肥を行います。
    標準域より数値が高い成分は、施肥基準より減肥を行います。
    標準域より数値が低い成分で、窒素以外の成分は施肥基準より増肥を行います。
    窒素は効き過ぎを避けるため施肥基準量を上限とし、生育に応じて追肥等で調整します。
    なお加里、石灰、苦土は塩基バランス及びpHによって更に施用量を加減します。

  25. 微量要素

    マンガンからホウ素の微量要素の改良目標域です。
    低い場合は改良目標値を超えないように注意しながら補給を行います。
    マンガン、銅、ホウ素は過剰害を生じやすいので、土壌分析診断に基づいた施肥を心がけてください。

  26. お客様相談窓口

    お客様相談窓口

    お問い合わせはフリーダイヤル、もしくは本ホームページ内のお問い合わせページをご利用ください。